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新しい動物愛護法が動き出した。


 
■ 長野高遠の馬虐待遂に送検! ■


衰弱させる虐待は施行後初めて。前号でお知らせした長野高遠町で4頭の馬を長期間水、餌を

十分に与えず衰弱、2頭死亡、2頭が衰弱したまま死体の隣に3ヶ月放置されていた事件で

「動物との共生を考える連絡会」は、4月に牧場主を動物虐待の容疑で告発して

いたが、12月4日伊那警察署は6ヶ月の慎重な捜査の結果新動物愛護管理法の第27条2項を

適用し、元牧場主を動物虐待の容疑で長野地検伊那支部に送った。死んだ馬は死因の特定が

難しいので生存の馬のみが対象で、長期間充分な水や食事を与えず衰弱させた疑い。

新しい法律の新しい条項が始めて適用されたもので動物との共生をうたった内容の具体化の

第一歩である。同法ではねこや犬を殺したり傷つけたりして逮捕者があるが、環境省動物愛護管理室
でも「不作為による衰弱での立件は始めて」とのこと。2頭はその後茅野のポニー牧場で療養していたが、

ほぼ体力を取り戻しポニーは同牧場で引き続き飼育され、残り1頭は南箕輪村の酪農家に引き取られた。

永い間応援して下さったポニー牧場のY場長様、獣医師のN先生、進んで証言してくださった方々、

皆様のお陰と深く感謝しております。

■ オランウータン等密輸販売種の保存法違反で実刑 ■


 大阪曾根崎の繁華街で、永年東南アジアなどからオランウータンや他の希少種の動物を密輸入して

販売して愛護団体から告発されていた「梅田ワンワンランド」の経営者に11月8日大阪地裁で

実刑が言い渡された。同店の経営主体の法人は罰金百万円、元経営者に懲役2年8ヶ月、罰金250万円、
元店長に懲役1年10ヶ月、罰金百万円を言い渡した。判決で松山昇平裁判官は「人類的課題として

野生生物保護の世論が高まる中、日本は野生生物の消費大国として非難されている。希少動物の

生命の危険を認識していながら、利益目的の悪質な犯行であり厳格な処罰が必要」と述べた。

両被告は絶滅の恐れがあるためワシントン条約で商取引が禁じられているオランウータン1匹と

フクロテナガザル1匹を98年通産大臣(当時)の承認なく輸入、また99年にオランウータン4匹を

インドネシアのブローカーから購入して日本に持ち帰った。同店は永年、オランウータンなど希少種の

動物を「普通のサル」等と税関を偽って持ち込み、カタログなどで全国に宣伝して販売し、

動物愛護団体が種の保存法違反で告発していた。4匹のオランウータンは没収され、インドネシアで

野生に返す努力が続けられているが、あまりに幼いとき時に人間に飼われたため、野生に返すのは

非常に困難とのことである。このような業者でも届出さえすれば営業は出来るので、

たびたびの保健所、警察からの注意、警告にも関わらず営業を続けていた。これらの点を考えると

5年後の法律の見直し(実質4年後だが)の際に動物販売業に許可制が導入されることは絶対必要である。


■ 子犬をわざと傷つけ治療費を街頭募金に有罪 ■


2001年9月25日、大阪地裁で99年から多数の犬の前脚を切断し、街頭で治療費と称して
募金を続けていた京都府のI被告に懲役6ヶ月、執行猶予3年、罰金3万円の判決があった。

(求刑懲役6ヶ月、罰金3万円) 同人は子犬を故意に傷つけ大阪等のの街頭で治療代をカンパして等と

偽って募金し、150万円を集め、合計十数匹を傷つけた動物愛護法違反で6月に逮捕された。
判決で本間裁判官は「故意に飼い犬を傷つけて見せ物にし、通行人の同情を誘おうとした犯行は、

卑劣で悪質だ。動機に汲むべき事情もない。」と述べた。判決では、同被告は、昨年11月自宅で

生後2ヶ月のダルメシアン犬の右前脚を切断した、他に4月に、京都府宮津市の路上で、生後5ヶ月の

ビーグル犬を無理矢理引きずり負傷させた。


■ 5年後の見直しの重要点 ■


平成12年に成立した「動物の愛護及び管理に関する法律」附則第2条で施行後5年を目途として、

国、地方公共団体等における動物の愛護及び管理に関する各種の取り組み状況等を勘案し、

所用の措置を講ずる。とあり、当会としては次のような点の見直しが必要だと考えられる。

1,動物取扱業への許可制の導入
販売、繁殖、貸し出し、保管、訓練及び展示業者は現在各地方公共団体で届出制に基づき

調査を実施中だが、届け出ない業者も多く法律の徹底と動物保護の為にも許可制が必要である。
2,動物実験の規制を求める。
今回は医学的に必要との見地から除かれたが、日本の動物実験の評価が世界的基準を
満たさないために低い傾向がある。情報公開と規制を求める。実験動物業者も「取扱業者」に加えるべきである。
3,動物虐待の定義のより明確化
長野の馬の事件など殺傷以外の虐待はなかなか理解されにくい。条文のより具体化を求めたい。


■ ぺットフードもすべての原材料の表示を ■


2001年11月1日の狂牛病シンポジウムで東大の小野寺節教授から、英国では過去は

ペットフードに牛肉骨粉を原材料に加えていて、猫に海綿状脳症(狂牛病)が80数頭発症したが、

96年から牛肉骨粉使用を止めてから減少した。との発表があった。現在我が国では、原料としての

牛肉骨粉の輸入、製造流通は禁止され、10月末に豚、鶏の肉骨粉が肥料、ペットフードに使用が

許可になったが、英国、EU以外の国で製造された牛肉骨粉入りのペットフードは輸入許可になっている。

従って製品の安全の為には人間の食品、家畜の飼料並に(法律的にはペットフードは食品でも飼料

でもない位置づけである。)すべての原材料の表示が必要と考えられます。
現状では「ペットフードに関する公正競争規約第4条第7項」で原材料の表示が義務づけられて

いますが、施行規則で、「多い順に80%になるまで、10%以上のものは必ず表示する」とあり

肉骨粉は抜け落ちてしまいます。

 

■ 狂牛病の流行について ■

1,最初英国のヒツジに発症
 80年代英国のヒツジにスクレイピー病として脳がスポンジ状になりふらつく病気が大量に発生して、

そのヒツジの脳や肉骨粉を牛の飼料に入れたことから牛にも同様症状が続発、

処分した牛を更に肉骨粉にして子牛に与え続けることで爆発的に広がった。
最盛期には英国で約18万頭に発症、45万頭が焼却された。ヒトは牛の脳などを食用にした

ヒトなどを中心に百名が発病した。英国は96年まで百万トン以上の牛肉骨粉をEU各国に販売し、

狂牛病はヨーロッパ中に広まった。

2,英国での狂牛病の流行は、肉骨粉の入った代用乳を子牛に与えたため。
アメリカでは狂牛病が発生していないが、これは子牛の離乳期に代用乳(牛乳は人間が消費するので)

のタンパク質の補充に英国は牛肉骨粉を使用したが、米国は植物蛋白のみを使ったから。

人と同様に牛でも乳児期はタンパク質がそのまま吸収されるので、汚染された牛の肉骨粉の

異常プリオンがその際血液中に入ったと考えられる。(山内一也東大名誉教授)

本来牧畜は、緑豊かな牧草を食べ良質の牛乳、肉を産出することだったが、採算性をめざす余り

すべての牛乳を人間に回し、子牛には肉骨粉でタンパク質をとらせ、急速に成長させるような

自然の摂理に反する産業形態になっていた。食品の大量生産、大量消費の形態を考え直すきっかけに

なるのではないか。

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